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台南のある郵便配達さん「差差」:インスタグラムの人気者だけではない、過疎地域の絆そのもの

台南のある郵便配達さん「差差」:インスタグラムの人気者だけではない、過疎地域の絆そのもの

『差差工作日誌』序文:◎林煜幃(有鹿文化出版社 副総編集長)

昨年の今頃だったと思いますが、初めてインターネットで「差差工作日誌」という李翔さんの撮影した作品集に関する記事を見て、感動と興奮のあまり、あまり考えずに、気が付いたらすぐ彼のインスタにコメントをしていました。それ以来、我々は、よくありがちなネット友達から始まった友人付き合いです。

彼のインスタの写真を見て、この面識のない友達の生活を想像してみました。「差差工作日誌」の郵便局員李翔こと、差差は、今どきの若い男の子で、自由気ままに好きなことを探している印象を受け、きっと社会人としての初めての職場で新しい世界を手探りする「意識高い系の郵便屋さん」だと勝手に思い描いていました。

しかしそれは私の全くの誤解でした。差差は、郵便局員として十一年もの経験を持つベテラン。彼はロマンチックな一面も持ち、厳しい状況の中仕事をこなしてきました。

そして、彼は読者たちに一つの可能性を示してくれました。担当する配達ルート(台南の善化、大内、安定)は、まだ台湾の農業時代の雰囲気が残る田舎街で、簡単に言えば、過疎化真っ只中の、お年寄りと子供が多い地域。彼はそこで住民と知り合って、最初は簡単な挨拶から始め、しっかりと信頼関係を築いてきました。最初はまるでこの街のお客さん扱いだった彼は、今は住民たちの親友のような存在にまでなっています。そういった彼の真摯で温かな気持ちが、写真からしっかり伝わってきます。

田舎で彼が届けるのは、郵便物や小包だけではなく、挨拶と気持ち。現地のお爺ちゃんお婆ちゃんたちも、彼のことを仕事をする人だと思っておらず、なんだか生活の一部分になっているように思えます。差差もすっかりこの田舎の生活に馴染んでいます。

インターネットでこれを見た人たちは、「差差は小さ頃の故郷の風景を届けてくれている」、「画面の中のお年寄りは、まるで自分のお爺ちゃんとお婆ちゃんのようだ」と語っています。また、「自分の実家が差差の担当地域に近いので、よかったらぜひ自分のひい爺ちゃんにも話をしに行ってもらえませんか?」とお願いした人もいます。

インタビューに応じる差差は「自分は三年前ぐらい、新しい友達と出会い…」と話し始め、それから色々なことを語ってくれました。話を聞くだけで辛い過去を乗り越えてきたことが想像できました。それから、彼はオタクから脱皮して、山に入って、文学と歴史を学び、古建築を学び、全ての彼の学びが今の彼の創作アイデアの養分になりました。全ての経験が彼がスッと皆の心に入り込んでいく理由にに違いないです。毎日 40㎞ から 60㎞ の配達ルートの、四季の変化と風景の微細な移り変わりを体で感じ、携帯カメラを持ちながら、手紙を届ける間、ところどころバイクを停め、シャッターを押します。住民たちから書留を受領するときは、彼のシャッターチャンス。それがこの作品集に込められた感動的な写真たちです。

焦点はいつも意外なところに ◎李翔

三年前に、今よく一緒に遊ぶ友人たちと知り合いました。

ランニングやキャンプ、山登り、水遊びなどのアウトドアの活動が好きで、歴史の研究も好き、台南の路地が大好きで、一緒においしいものを食べたり、お互いに「これ買ったら?」と茶化し合ったりするのが好き。こういったことは、友達同士なら普通のことかもしれないが、この友人たちとの出会いが私の人生を変えた。今から、約三年前の私は、世に言うオタクで、会社と自宅との往復だけの生活で、家ではテレビを見たり、ゲームをしたりして、毎日単純なことの繰り返しだった。

友人たちは、生活に対するそれぞれのしっかりとした考えと表現があり、写真撮影の知識にも富んで、私は彼らの影響で、本気で写真を撮り始めた。その後、私の撮影した作品を友達たちが目に留めて、ぜひ一緒に出版しようアドバイスもらった。「なんでもっと早く気づかなかったか?」とさえ思った。その後、積極的に郵便配達のバイクを写真に収めるようになったが、その時はまだ誰も私の作品にあまり感心が無かったし、元々、定年後の自分への記念写真くらいに、という軽い気持ちだった。

郵便局員の仕事を11年もしてきて、いつかこの郵便配達の仕事に皆が興味を持ってくれることになるとは全然思ってなかった。最初郵便局に入った時、とても緊張していて、周りの人間や、景色や物事など、全然ちゃんと見れなかったが、しばらくしてからようやく慣れるようになった。郵便局員の本能かな?見た景色を全部覚えられる気がして、だんだんとこの土地の四季の色の違いを知り、光や色の温度の対比、お隣さん同士のお喋りの景色、農家の人たちが汗をかいて作った作物、花の四季の変化を知った。こういった景色のおかげで、忙しい仕事の合間に、少しだけ癒された。

差差工作日誌

(文章、写真、いずれも有鹿文化出版社によって使用許諾を取得済み。Taisuki Cafe より編集、翻訳)

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