Taisuki Café

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台湾バイク事情。ひとりより2人、もしくは+1匹

台湾バイク事情。ひとりより2人、もしくは+1匹

連載:「猫と珈琲、時々おじさん。〜台湾小確幸」

バイクでGo!台北・初めての部屋さがし

不動産仲介業者の若い女の子は、待ち合わせ場所にバイクでやって来ました。

「バイクが台湾人の足って本当なんだなあ」台北に来て一週間もたっていなかった私が感心していると、挨拶もそこそこに彼女はヘルメットを差し出し「乗ってください」。

その日私はタイトな膝丈のスカートを履いていたので
「この服では乗れないです」
「大丈夫、横向きに座ってください。しっかり私の腰につかまって」

8月の蒸し暑い曇り空の下、怖い怖い怖いと最初は叫んで、風を受けているうちに段々と、愉快な気持ちになってきました。初対面の女の子のバイクに乗せられてバイクで部屋探し。本当に台北に来たんだなあと実感した日でした。

事故は日常茶飯事。阿吽の呼吸で助けるのが台湾流

台湾の街中で写真を撮ると、高確率でバイクが映り込んでいませんか。

通勤やお出かけに使う人はとても多いので、雨の日のオフィスの廊下はバイク通勤者のカッパがずらっと干されるのも台湾ならではの光景です。数日姿を見なかった人が手足に包帯やギブスを巻いて現れても、動揺しません。バイクの事故はとても多いので、命に別条がないなら、驚き騒ぐこともなくなりました。

台湾の通勤や帰宅ピークの時間帯のバイクの数は、初めて見る人には「何かが始まるの?」といわしめます。その分、信号待ちや歩行中、目の前でバイクが転がり人が投げ出される場面に遭遇する確率も高くなる。

初めて遭遇した時は、事故そのものにも驚きましたが、もっと印象に残ったのは、周辺にいる人や近所のお店から人が集まり、阿吽の呼吸、一致団結で助ける様子でした。

散らばった荷物を拾い集める人、バイクを起こす人、怪我した人に呼びかけ安全な場所へ移動させる人、救急車を呼ぶ人。大騒ぎをするでもなく、居合わせた人たちがあっという間に応急処置をするのが台湾流。事故を見るたびに立ちすくんでしまうけれど、周りの人たちが手助けに集まる様子、その善意と手際の良さ、騒ぎ立てない不思議な一種の静けさのおかげで、ショックが大分和らぐのです。

香港の友人たちと台北で食事をした帰り道、5メートルほど離れたところで突然バイクがぱたりと倒れたことがありました。足を止めて小さく叫び青ざめている香港人。倒れたバイクの至近距離に人がいる、あの人たちが必ず助けに出ると私は確信をもっていたので、冷静でいられました。

「大丈夫なの」震える声で言う友人に、「大丈夫。ほらもう救急車を呼んでる。台湾では良くあることなの」と答えてから、思い出した。香港で台風の日、強風に飛ばされていくコダックの黄色い看板を呆然と見ている私をかばいながら、「ぼうっとしてちゃダメ。自分の身は自分で守らなきゃ」と、彼らが諭してくれたこと。
所変われば品変わる、大抵の危険は経験している彼らもバイク事故には不慣れで、ショックを受けたようでした。

「あんたには無理」台湾でベスパに乗る夢をあきらめる

台北で暮らすことになったら、私もバイクを買おうと思っていました。車種はベスパ一択。映画「ローマの休日」やドラマ「探偵物語」で主人公が乗り回す、イタリアのバイクです。台湾ではあちこちでベスパを見かけ、専門店もあるので、住む部屋が決まると、私は台北市内にある小さなベスパの店に出かけて行きました。

しかし店主のおじさんは、私を見てちょっと困惑した表情になり、

「あんたには、無理だろう」

と一言。

ベスパは普通のスクーターよりも車体が重い。しかもビンテージはキーひとつでかかるエンジンではなく、アクセルを踏みながらグリップを回すタイミングが難しい。日本で乗っていた頃も、渋谷の交差点でエンストしてし泣いたり、重さをコントロールできず、ガードレールにこすったわね・・・・・・。

日本の交通量だったから、まだ無事でいられたのかもしれない。台湾で、バイクが縦横無尽に車やバスをくねくねと追い越し、タクシーやバスの降車中にも隙あらばとバイクが突っ込んでくる、人より車両が優先されるこの街で、「じゃじゃ馬」と呼ばれる重たいベスパを乗りこなす自信は、私にも持てませんでした。

夢破れてしょんぼりしていると、おじさんは電動スクーターを勧めてくれました。
「エコだし、軽いよ」
「電池はどのくらい持つんですか」
「淡水まで行ける」
「片道?」
もし途中で電池切れになったら、それこそどうやって充電するのさ。

結局、私は台湾が誇る「ジャイアント」の自転車を買いました。それも2年で盗まれ、以降は自分の車両を持っていません。

台北のあちこちで、幸せなバイクのひとかたまり

復興北路で、運転席にお父さん、後ろには子供を抱いたお母さん、さらにはお父さんの足元のステップに犬が乗っている一家全員搭載のバイクが通り過ぎていくのを見て、
「あれが台湾の格差社会の象徴だよ」
と皮肉っぽく言った友達がいました。

でも私には、バイクを運転するお父さんの背中とお母さんの胸の間に挟まれている子供、家族と一緒に出掛ける犬のひとかたまりは、とても幸せそうに見えた。だから(格差ってなんじゃらホイ)と不思議に思いました。

民生西路では、笑顔をほころばせたお爺さんがバイクでやってくるのを見ました。その背中にしがみついているのは、同じお年の頃のお婆さん。ご夫婦なのかな、何かを喋りながら、ふたりはまるで少年少女のような笑顔で、私の前を通り過ぎて行きました。よっ、青春だね!安全運転よろしく!と、ちょっと口笛吹いて見送りたくなるような、うきうきと仲睦まじい感じ、憧れてしまいます。

木柵へ向かう緑の濃い山道で、お婆さんを前に乗せて、後ろから抱えるようにしてバイクを二人乗りをしている若い男の子を見かけたこともあります。

格差なのかもしれない。車があった方が、安全で、鼻も高いのかもしれない。孫が免許を取り車を買って乗せてくれたら、きっと誇らしくて嬉しいでしょう。
でも、孫に抱かれてバイクに二人乗り、風を切って走っていくなんてすごくいいなあ、おばあちゃん楽しいだろうなあと思うの。

ただただ、安全運転、それだけは気を付けてほしい。これからも台湾の街のあちこちで、幸せなバイクのひとかたまりを見つけたいです。

寄稿者情報

mimi
ライター、コーディネーター、プランナー。
香港で19年生活後、2010年から台北在住。東京出身。
街歩きで出会う猫とカフェ、ブンデスリーガ(ドイツサッカー)観戦が好き。
一丁文化出版(香港)より、日本人からみた香港の人や習慣、広東語の面白さと魅力を書いた
「當抹茶Latte遇上鴛鴦」 を中国語(一部広東語)で上梓。
五月天や台湾、香港の俳優やミュージシャンのインタビュー多数。
個人サイト| 「台北 カフェと旅ノート」

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