Taisuki Café

台湾が大好き♡

「香港と台湾、どっちが好き?」

「香港と台湾、どっちが好き?」

連載:「猫と珈琲、時々おじさん。〜台湾小確幸」

一年半ぶりに訪れた香港で、数人から尋ねられました。
「今は台北に住んでいるの?香港と台湾、どっちの方が好き?」

香港で暮らしていた頃、私が日本人と知ると、多くの香港人に訊かれたことを思い出します。
「日本と香港、どっちが好き?」
「日本人と香港人、どこの友達が多い?」
「和食と広東料理、どっちが好き?」

「どっちが好き?」
なんでそんなことを訊くんだろうと不思議に思いつつも、
「香港の方が私にはあってる。日本にいるとコンセントを抜かれたみたいに気が抜ける」
「日本には日本の、香港には香港の友達がいる」
「家で作るのは日本の家庭料理、外では広東料理を食べる」
と答えていました。暮らす場所や友達のことを、洋服やレコードを選ぶように、こっちの方が好き、こっちのコレクションが多いと、量って意識するものではないと感じながら。

香港人も私に不思議を感じていたようで、さらに質問攻めにされました。

「日本の方が綺麗で暮らしやすいのに、どうして香港なんかがいいの」
(自らも香港人、でも人の多さや雑多さにうんざりした様子で)

「やっぱり日本人は同胞でつるむんだね」
(同胞という単語は日本語も中国語も広東語も同じですよ)

「和食って何を作るの。寿司?」
(とてもキラキラした目で)

香港に住む日本人なら、判で押したように一字一句同じ質問をされます。「なぜなんだ、質問がマニュアル化されているのか」と笑い話にもなりました。

どうして香港なんかがいいの?と尋ねる彼らに、香港で受ける刺激の種類、楽しさ、広東語の面白さを語ると、「ふうーん」とまんざらでもなさそうな顔。香港人は比較して、貶めたり持ち上げたりしながら、「どっちがいいか」を確かめているのかな。その頃はぼんやりと、そんな風に思っていました。

台湾に移り住んで、香港で長く暮らしてからこちらに来たと話しても、台湾人から
「どうして台湾に来たの」
「香港と台湾、どちらが好き」
「日本人と台湾人の友達、どっちが多い」
と訊かれたことは、一度もありません。

「台湾の生活にはもう慣れた?」
大抵の人が、穏やかに尋ねてくれます。

「台湾の食べ物は美味しいでしょう。日本人の口に合うはずですよ」
笑顔で言われることも良くあります。

台湾の人たちは、比較ではなく、台湾をどう思うか、穏やかに暮らせているかを、気にかけてくれる。そして食事に、確固たる自信を持っている。自分たちの状況や立ち位置をちゃんと知っているから、比較をする必要がないのかもしれません。

「香港と台湾、どっちが好き?」
そう尋ねる香港の友人たちは、ちょっと悲しそうな、訴えかけるような目をしていました。以前、私がまだあの街に住んでいた頃に、「日本と香港」を私に比べさせる彼らは、こんな目をしなかった。真っすぐ見据えて何かを探る、こちらが怯んで戸惑うほど強い目をしていました。立ち位置、状況。香港から台湾への移住が増えていることを思うと、今、彼らも新たに考えるところがあるのかもしれません。

「生活は台湾、仕事のやり方は香港がいい」
どっちが好き?に対する、今の私の答えです。

「暮らすのは台湾のほうが静かでいいだろうね。家賃も香港よりは安いし。でも、仕事はどうして?香港人は、なんでも速すぎない?」
重ねて尋ねられて、私は率直に話しました。

香港の、ドライで速い仕事の仕方は、私の性格にあってた。お礼を言うと「バカね」と煩がり、「じゃ、また」と照れたようにそそくさと行ってしまう、ツンデレな香港のスピード感が好き。

台湾はどちらかというとウェット、物事の進み方がゆっくりになりがち。一番怖いのは個人情報の扱いが大らかなこと。悪いことに使う人がいるなんて考えもしない、性善説なのかもしれないけれど。

でも、素早く的確に仕事をする人、情が厚くて口も義理も堅い人もいる。一度や二度の失敗で切り捨てないのも、台湾人の寛容さ、辛抱強さだと思う。

香港人の友達は個人情報のことでは驚いていましたが、
「色んな人がいる。あまり考えすぎないことよ」
と、やんわり諭されました。

香港は刺激、台湾は安らぎ。
敢えて香港と台湾を比較した場合の、私にとって最大の魅力です。

機内から見下ろす夜の香港の街の灯りは、まるで金色の龍が脈打っているようで、その背中に降りていくのは心が躍ります。
桃園空港から自宅へ帰る車の中で見る台北の街の灯りはなだらかで、暖かい。その穏やかさは子供の頃に見た灯りのようで、「ただいま」とつぶやきたくなる。

ワンタン麵は台湾の、ミルクティーなら香港式。
どっちが好きかと訊かれてはっきり答えられる項目に、このふたつも付け足します。他のことは「どっちも好きだし、嫌なことだってあるわ」と、私自身の立ち位置を自問自答しました。

寄稿者情報

mimi
ライター、コーディネーター、プランナー。
香港で19年生活後、2010年から台北在住。東京出身。
街歩きで出会う猫とカフェ、ブンデスリーガ(ドイツサッカー)観戦が好き。
一丁文化出版(香港)より、日本人からみた香港の人や習慣、広東語の面白さと魅力を書いた
「當抹茶Latte遇上鴛鴦」 を中国語(一部広東語)で上梓。
五月天や台湾、香港の俳優やミュージシャンのインタビュー多数。
個人サイト| 「台北 カフェと旅ノート」

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